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(c) 2005 Toshimitsu Kawano 川野俊充

April 09, 2003

3GとWi-Fiの敵は既存の通信環境

3GWi-Fi、対立構造を読み解くで梅田さんがPermanet, Nearlynet, and Wireless Dataを引いて3GとWi-Fiの対立構造を紹介しているが,私はこの両者は必ずしも対立するものではないと考えている.

えいやと言い切ってしまうと,3Gはケータイ端末をつなぐための技術,無線LANはラップトップPCをつなぐための技術であり,この異なる端末環境は短期的には融合しないからだ.3GはラップトップPCをつなぐには通信コストがまだ高すぎるし,無線LANはケータイをつなぐには消費電力がまだ大きすぎる.確かに,マイクロプロジェクターで机にでかいスクリーンを投射し,フォースフィードバックがあるCanestaキーボードが搭載された,すこぶるパワフルで信じられないほど長持ちする,ポケットに入るようなケータイ端末が実用化されれば,複数の無線通信規格が端末あたりのエアタイムの争奪を始める構造も生まれうるが,これは現実感を持って語るには少し遠すぎる将来の話だ.

対立構造があるとすれば,3Gと既存の2.5G,そしてWi-FiとxDSLをはじめとする既存のブロードバンドネットワークサービスの間である.私は今3Gにも加入していないし(そもそも今住んでいるバークレーは田舎でケータイの電波が届きにくいのだけど),無線LANサービスにも加入していない(自宅でラスト数フィートをつなげるのに802.11gを使っているけれど).のどが渇いても我慢できるがパケットが届かないと我慢ができないほどの「繋がり症候群」の私でも2.5GとADSLで生活に困っていないため,安くなるなどのインセンティブでも無い限り,これらをそれぞれ3GやWi-Fiに乗り換える必要がない.

確かに802.16や802.20(*1)が超低消費電力のチップに実装されれば無線LANと3Gが争う局面が出てくる可能性はある.しかしその場合でも既存のインフラからのアップグレードを強要し,一方のみの選択を余儀なくされるような「ものすごいケータイ端末」でも登場してこない限り,やはり両者は共存していくことになるだろう.

個人的には3Gは使いたいし(*2),無線LANのホットスポットサービスももっと普及して欲しいと願っている(*3).どちらも便利なサービスであることは間違いないからだ.しかし,ここで指摘したいのは,両者が争うべき対象は既に普及した既存の通信環境であって,これから普及していく新しい通信規格ではないということだ.

(*1) ところで,802.16は802.11と802.20の速くてポータブルといういいとこ取りをした規格だが,その先割れスプーン的な仕様の中途半端さは支配力の確保が必要なキャリアには受け入れられにくいだろうと私も思う.

(*2) 実はMoblogしたくて仕方がないのだが,Hiptopは画質が悪すぎるし,米国の3Gサービスで使えるカメラ付きの端末はまだ普及していない.

(*3) ちなみにホットスポットサービスは無線インターネットサービスと思われているが,本質的には既存の有線インターネットサービスと同じだ.単にラスト数フィートを無線でつないでいるだけで,スターバックスのテーブルにRJ-45ジャックを敷き詰めてもビジネスモデルは変わらないからだ.要は普通のISPで単に「接続元が固定された公共の場」になっているというだけの話.


Posted by toshi at April 9, 2003 10:18 PM | TrackBack
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